今回の引越し案件は 夜逃げ
今週のお題「引っ越し」
私は以前、引越しの仕事をしておりました
その時のエピソードを書かせて頂きます
私の会社は大手引越し会社に加盟する
フランチャイズ契約の引越し屋なので
ルール、クオリティがあまい会社でした
ある日、部長から「今回の案件は仕事内容を聞いたら断れないけど、聞くか?」と言われました
そんな楽しそうな仕事を取りこぼす訳が無い私は喜んで話を聞くと伝えました
今回の引越しはズバリ夜逃げ
正しく言えば旦那様が仕事に行っている時に引越しするので昼逃げ
- 何処かの団体(?)の支援と紹介
- DVが酷く警察に相談しても助けてくれない為、一時的に避難(多分戻らない)
- 形跡を残さない
部長は何度か夜逃げの案件を受け持ったことがあるらしく、指南して頂けました
引越しのドタバタに驚き近所の人が話しかけられた際、まともに話をしない(田舎ほど注意)
バイト→バイトなんでわかりません
ドライバー→話しかけるなオーラ全放出
トラックの会社名を隠す
作業中は何となくナンバーも隠す
当日になりバイト2人を乗せた私は現場へ向かいました
お宅はファミリータイプのマンション
60㎡ほどの3LDK
お客様にご挨拶をすると
『DV被害で夜逃げって本当ですか?』と疑う位に奥様、お嬢様共に『超』がつく程、美しく、幸せそうな方でした
DVの事に触れられる訳もなく事実確認を出来ぬまま、作業を進めました
時間はたっぷりあった為、しっかりと荷物を積み込み、残す荷物を確認して頂き
何度もやり忘れ、やり残しがないか確認致しました
もう戻って来れないのでしっかりと!!
奥様は自宅玄関に鍵を締めると
鍵からキーホルダーを外し
それをポストへ入れました
その瞬間
奥様の顔が晴れていく姿が印象的でした
もう後には戻れない
その後引越し先で荷物をおろし
帰る時、奥様は私達に言いました
「変な仕事させてしまってごめんなさい
でもすごく助かりました、ありがとうございます」
と言って1万円入った御祝儀袋3つとファンタグレープ3本入った手提げを頂きました
それからどうなったかはわかりませんが
また、他人の人生のドラマを覗き見てしまった1日でした